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まったりまったんこ

アルファポリスでまったり小説掲載中です。 習作短編やSS、設定の裏話やボヤキなど。 ネタバレがある場合は件名に記載します。 ジャンル:人間模様>>恋愛、ファンタジー

【ネタバレ注意】作者的名(?)シーンランキングベスト10~神崎家シリーズ編~

おもむろに今年(一部昨年)を振り返ってみようと思い、自分なりに記憶に残ってるシーンをランキング形式でご紹介☆
ネタバレご了承ください~

10位
『期待外れな吉田さん、自由人な前田くん』
** 39 ロスタイムの横顔は発見に満ちている。**
「顔、真っ赤だよ」
 頬に触れるか触れないかのところで手を止めた前田は、囁くように言った。その声は、わずかにかすれて聞こえーーそういえば、彼の声は若干ハスキーだったと今さら気づく。警報のように鳴りつづける鼓動は静まることもなく鳴りつづけている。ドキドキどころかバクバクと音が変わったように感じつつ、
「う、るさい」
 手を振り払って、かろうじて口をついた強がりは、あっさりと一笑された。
 前田の挙動の一つ一つに、色気を感じてたじろぐ。目が離せない。泣きそうなほどの切なさに、心中で自分を叱咤した。
 ーー前田の癖にっ。
 ばん、と机に手をつき、上体を持ち上げる。
 きょとん、とした前田の顔に、覆いかぶさるように顔を近づけてーー
 唇を掠め取った。
 
⇒このシーンが浮かんで書いたような作品でした。ここまで前田を笑わせないというのが意外と難しかったのですが、サリーが可愛く書けたような気がしてます。その後の混乱具合も含めて。
おんなのこ可愛い。
 
9位
『初恋旅行に出かけます』
**第一部12**
『ヒカル』
 不意に名前を呼ばれた瞬間、身体中をビリビリと何かが走った。目が潤む。鼓動が高鳴り、呼吸が浅くなる。
『学校、楽しいか?』
 思いやりに溢れた声音は、鼓膜を刺激してじわりと私の中に入ってくる。
 3年前、震える私を、黙って抱きしめてくれた温もりを思い出す。同じ男の人なのに、おじいちゃんともお父さんとも違う感じがした腕の中。筋肉質で硬いのに、驚くほど居心地がよくて、いつまでもそこにいられたらと思うほどだった。
「……うん、楽しいよ」
 言ったとき、片方の目から涙が溢れた。
 会いたい。この人にまた、会いたい。会って、変わらず笑う私を見てほしい。
 もう大丈夫だよって、心配いらないよって、伝えたい。
 
⇒この「ヒカル」の一言のために書き始めたと言っても過言ではないこの作品でした(笑)
恋愛とも家族とも違う関係の二人が互いを気にかけつづけている姿を…描けて…いましたでしょうか…
 
8位
『神崎くんは残念なイケメン』
**26 gift**
 名前を探し、ためらった後、勇気を出してコールボタンを押す。
『ーーもしもし?』
 声が聞こえた瞬間、緩んでいた私の中の塊は、とうとうーーでも、呆気なく溶け出した。
 次から次に溢れる涙は、悲しさや苦しさではなく、今まで押さえ付けられていた色んな感情が溢れてきているようだった。
「神崎くん」
 涙を拭いながら、私は言った。
「会いたい。ーー神崎くんに」
 電話の向こうで、神崎くんが驚いているのが分かった。私はその顔を想像して、思わず笑う。
『泣いてるのかと思ったのに』
「うん、泣いてるよ」
 すねたように言う神崎くんに、ふふふ、と私は笑いながら、それでも次々溢れる涙を止める気にはならなかった。神崎くんが苦笑するのを感じる。
『変なの。ーーいいよ。どこで会う?』
 
⇒早紀と話してすっきりした後、自分から隼人に連絡するシーン。このシーンの香子が一番可愛いと思ってます。可愛い。香子可愛い(うるさい)
 
7位
『さくやこの』
**94 新しい関係**
 ――我が家。
 不意に思いついた言葉に、戸惑う。
 先に玄関先に入った咲也は、ドアを支えたまま微笑んだ。
 その姿に、二年前に見た彼の姿が、くっきりと重なる。
 あの頃よく準備してくれた夕飯の香りすら、ただよってくるような気がした。
「おかえり」
 どきり、と心臓が高鳴る。
 ーーああ。
 一気にこみ上げる涙を抑えようと、息を短く吐き出した。
 ――が、うまくいかない。
「た、だいま」
 帰ってきたんだ。
 ほんとに。ここに。
 私も、咲也も。
 ーー帰ってきたんだ。
 涙が、頬を伝い落ちた。
 次々とあふれる涙を、私は止められない。止めなくていいんだ、と思った。
 もう、止めなくていい。我慢なんてしなくていい。思い切り泣き崩れても、叫んでも――
 咲也は、ここにいる。
 
⇒気に入らず、何度か書き直したシーンでした。ここで泣かずにいつ泣く、と思ったのですが今見直してもまだ不完全燃焼な感じ。いずれリベンジを…
 
6位
『色ハくれなゐ』
**第一部第三章15 悲願**
 込み上げてきたのが涙だと理解する前に、生温かいそれが頬を伝い落ちた。
「ぅっ……く」
 嗚咽を噛み殺そうと片手で口を押さえ、片手で目元を覆う。
 ヨーコさんの深い寝息が聞こえる。
 隣り合わせの身体から、温もりが伝わってくる。
 俺の隣で、安心しきったように身を休めて。
「はっ……ぅう」
 どうにも嗚咽が噛み殺せなくなって、俺は布団を頭から被り、ヨーコさんに背を向けた。
 ぼろぼろ流れる涙が何を示すのか、馬鹿な俺にはわからない。わからなくて混乱して、それでも馬鹿みたいに次から次に溢れた。
 
⇒二人の気持ちが通じ合った瞬間てどんな感じなのかなーと気になっていたのですが、こういう感じだったんだなと…いやだって勝手に動くんですよ…わからないですよ作者だって…
 
5位
『さくやこの』
**88 大嫌いったら大嫌い**
 ーー咲也。
 咲也。咲也。
 どうして、私に頼ってくれなかったの?
 力及ばぬ自分に対しての悔しさは、翻って神崎さんへの憎しみになる。
 苦もなくーー気にもせず自覚もせずーー人をひきつけるこの男が、憎い。ーー憎いのに、憎みきれない。
 気づくと頬を涙が伝っていた。
「だい、きらい、です」
 
⇒こいつが言わなきゃ誰が言う、という台詞を思い切り言わせてみました。主役に共感しながら書くたちなので、「政人マジうざい!」と思いながら書いてました(笑)
 
4位
『初恋旅行に出かけます』
第四部 16 行ってらっしゃい。行ってきます。
「山ちゃん」
 山ちゃんがうつむきがちだった顔を上げた。
 私は一歩近づき、そのシャツの裾をつかむ。
 背伸びをして、背の高い彼の顔に照準を定めて。
 掠め取るように、キスをした。
 恥ずかしさと切なさと喜びがごちゃまぜの感情で笑顔を浮かべて、彼から離れた私は手を振る。
「行ってきます!」
 山ちゃんはぽかんとして、唇を押さえた。
 そしてその手を翻し、私に振った。
「行ってらっしゃい」
 私はホームへと走り出す。山ちゃんの声が追って聞こえた。
「ーー待ってるからな!」
 
⇒ヒカルと山ちゃんの関係と性格が一番よく出たなと思ってます。超青春臭く仕上がって満足です。
この作品は総じて青春を全力疾走しようと思っていたので、私としてはここが一番のハイライト。
 
3位
『色ハくれなゐ』
** 第一部第三章 06 握手**
「それでは、失礼します」
 俺は一礼して会場を離れた。ホールから出ると、迷わず手洗いに向かう。
 洗面所で石鹸を泡立てながら、吐き気がしてきた。
 ヨーコさんに触れた男の手。触れたはずだ。彼女のソトにも、ナカにも。
 執拗なほど丹念に手を洗いながら、気付けば俺は泣いていた。
 
⇒これは書きながら驚いたシーンなんですよね。
もう麻痺してしまっているヨーコの代わりにジョーが傷ついているわけですが、元々こう動くと考えていた訳ではなかったので。この夫婦についてはそういう発見がいろいろあって…また別途語りたい…
 
2位
『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい!』
**第六章 夏の終わりの夜の夢 05 そこにもう、君はいない**
「おやすみ」
 橘が鞄から鍵を取り出し、ドアを開ける。
 それを横目に見ながら、俺はまた駅へと引き返す。
 一瞬、玄関先の室内灯が暗闇を照らし出し、橘が入って行った気配がした。
 ぱたん、とドアが閉まる音がする。次いで、がちゃり、と鍵が締まる音。
 俺はそこで立ち止まり、振り向いた。
 もう、そこに橘はいない。
 おやすみ、と言った橘の声を思い出す。が、その表情は暗闇に紛れてよく覚えていない。
 笑っていたろうか。気遣わしげなままだったろうか。
 顔をちゃんと見ておけばよかった。
 後悔しながら、俺はまた歩き出した。
 おやすみ、と答えながら、俺はどんな顔をしていただろう。すがりつくような目をしていなかったと願いたい。
 夏の終わりの夜風は、相変わらず肌にまとわりつく。
 おやすみ。さよなら。
 俺は歩きながら、息を吐く。吐いて吐いて吐き尽くして、息が止まったところで、呟いた。
 橘。
 好き、だった。
 思い切り息を吸う。口だけで笑って空を見る。冬と違ってすっきりしない夏の夜空に、それでもいくつか星がまたたいている。
 ありがとう。
 橘の声が、脳内にリフレインした。
 
⇒これ書ききったときの達成感ヤバかったですね…モテ男とデキ女はこのために書いたのではないかと思いましたよね…
阿久津らしいふっ切り方だったと思ってます。というか一挙一動が阿久津らしくて「あああくつぅう!」ってなってました。
筆が乗りに乗ってさくっと書いたのですが今でもいい感じに書けてると思(自己満足)
 
1位
『もの狂ほしや 色と情』
彩乃と政人の家からの帰路。子どもについてのシーン。
 
⇒まだ改稿版書けてないのですが(おい)一度は公開してるので。
ヨーコが子どもについてどう考えるか、これまたしっかりとは決めていなかったのですが、ヨーコの気質的にはこうなるだろうなと…
ってそうか!一番大事なシーンだから書けないのか!よく分かったよ!確かにね!ヨーコだし2位のシーン超えたいよね!自分にわかりみ←
もう少しエネルギー溜めてから書きます…
 
で『モテ男とデキ女』がないっていうツッコミがありそうですが、他と比べて印象が薄いです(一番人気ある作品なのに…(笑))
強いて言うならこのシーン
**104 思惑(アルファポリス版)**
「……肩を抱きながら、か」
 奥歯を噛み締めながら、呟く。
 ーー傷ついた少女を、他にどうやって支えられただろう。
 それが誰であれ、俺に対する悪意の目が、ヒカルにまで及んでいるのが腹立たしくて仕方ない。
「彼女のプライベートに関わることなので事情は言えませんが、肩を抱きながら部屋に入ったのは事実です」
 ーーこんなくだらない茶番、これ以上付き合いたくもない。
 苛立ちに任せて腰を上げつつ、
「俺が言うべきことはもう言いました。あとはそちらのーー中立の立場での判断、というやつにお任せします」
 自己都合のまみれた大人の汚い思惑に、ヒカルをこれ以上汚されたくなかった
 
⇒多分政人が唯一感情を爆発させ(そうになっ)たシーンなんですよね。
彩乃絡みじゃないんかいっ。はい違います、すみません(笑)
政人の潔癖なところ(おぼっちゃん感)とか優しさとかがよく出てるシーンかなと思います。
 
以上、ベストシーンランキング神崎家シリーズ編でした☆☆

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