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まったりまったんこ

アルファポリスでまったり小説掲載中です。 習作短編やSS、設定の裏話やボヤキなど。 ネタバレがある場合は件名に記載します。 ジャンル:人間模様>>恋愛、ファンタジー

【SS】何の脈絡もなく『五月病』多田野*栗原

番外編の番外編の翌日の朝チュンを妄想してしまってできたSS。そこまで読んだ方にお楽しみいただければ幸いです。
多田野の柔らかさに胸キュン←?

* * *
 
 ドアの開く音がして、多田野は目を覚ました。
 それに気づいた栗原が、少し赤らんだ顔で眉尻を下げる。
「あ、ごめんね。起こした?」
 多田野はぼんやりとそれを見上げて、腕の中を見、栗原に手を伸ばした。
 栗原がおずおずと近づき、多田野の腕の中におさまる。
「……びっくりした」
「何が?」
「栗ちゃんが消えちゃったかと思った」
 多田野が言うと、栗原は笑った。
「そんなの、あるわけないじゃん。朝風呂行くって言ったでしょ」
「うん……そうだけど」
 多田野は言いながら、栗原の背中を撫でる。
「……今、何時?」
「6時」
「早起きだね」
 多田野の言葉に、栗原は少しだけうろたえた。
「……あんまり、眠れなかった?」
「うん……あ、いやその……」
 多田野が問うと、栗原は目を泳がせた。
「なんか……隣で人が寝てるのって、慣れなくて」
 それもそうかもしれない、と多田野はあいづちを打ち、栗原の首もとに鼻をうずめる。
「……温泉のにおいがする」
「だって、入ってきたもん」
「うん」
 多田野はふと笑いながら、栗原の肩を抱きしめた。
「あったかい」
「温泉入ったもん」
「そうだね」
 二人で言い合い、くつくつ笑う。
 多田野は栗原の額にそっと口づけ、また抱き寄せて、深々とため息をついた。
「……多田野くん?」
「うん……」
「どうかした?」
「……うん……」
 多田野はくつくつと笑い出す。栗原がきょとんとしていた。
「葛藤してるとこ」
「葛藤?」
「栗ちゃん、仕事忙しいから、次いつゆっくり会えるかわかんないし」
「うん……」
「会えたとしても、疲れてるだろうから無理させたくないし」
「……う、ん……?」
「でも、久々に満たされたら、自分が飢えてたのがよく分かった」
「……ぅんん?」
 多田野はくつくつ笑いながら、栗原の額に自分の額をつけ、その丸い目を覗き込む。
「……嫌?」
「えええええと?」
「栗ちゃんが、嫌だったら、やめる」
「いや、え? 嫌っていうか、その、も、もうお日様も高く上がって、朝ですけど、えっ?」
「そうだね。すっかり朝になっちゃった」
 多田野は言いながら、栗原の腰回りを撫でる。洋服よりも薄いホテルの浴衣は、あっさりとショーツの凹凸を手の平に伝える。
「……嫌?」
 多田野は栗原を見上げながら、もう一度問う。
 栗原は喉の奥で、う、ぐ、と意味のない音を発して、風呂上がりよりも赤くなった顔を背けた。
「い、嫌じゃ……ないです」
 多田野は笑う。
「よかった」
 言って、栗原の手首を取り、首筋に口づける。
「でででででも、あああの朝で」
「そうだね」
「私朝風呂行ったとこなのに」
「あとでもう一度入ってもいいよ」
「あ、朝ごはんは」
「9時からにしてなかった? ぎりぎりまで寝てそうだよねとか言って」
 多田野は少しだけ湿気を帯びた栗原の髪を撫でた。
「3時間あれば充分でしょう」
 にこりと微笑む多田野の視線に、栗原は困惑したような表情を返し、
「そ、ソウデスネ……」
 か細い声で頷いた。
 
 多田野は栗原の腰を掻き抱いてやんわりと自分の隣に横たわらせると、頬に優しくキスをした。
「好きだよ、栗ちゃん」
 多田野の微笑みに、栗原が泣きそうな顔をして手を伸ばす。
「わ、私も……好き」
 栗原の腕に引き寄せられ、二人の唇が重なった。

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